日本、広しといえどもリムジンがすれ違う街は東京・六本木ぐらいではないでしょうか。
芸能人やスポーツ選手はどこで「悪い人たち」に出会うのか。
いろいろな人に話を聞きました。
昔の芸能・興行の世界の人脈の中で何人かの人を介して袖が触れ合ったという人もいれば、ただ単に県人会のつながりで仲良くなったという人もいれば、大阪北新地のクラブで偶然出会ったという人もいました。
意外と多いのは「デビュー前から知り合いだった」というケースのような気もしますが。
仕事上の付き合い
芸能界の年配の人たちに話を聞くと、
「だって昔はヤクザが芸能や興行を中心的にやっていたんだぜ」とおっしゃいます。
確かに、昭和の時代、演歌歌手の地方巡業を地元のヤクザ組織が平然と仕切っていた時代があります。当時の山口組にいたっては神戸芸能社という芸能事務所を作り、美空ひばりなど大スターを抱えていました。
しかし、そうはいっても時代は令和。そんな関係が続いているのでしょうか?
「何十年間も顔見知りなんだから、暴力団排除条例だとかコンプライアンスだなどと言われても急に『きょうから私とあなたがたは赤の他人です。一切連絡もよこさないでください』ーなんて言えるわけないじゃないか。ヤクザが怖いという部分もあるけど、それよりごく普通の人間関係としてありえないでしょう。きのうまで仲良くしていた人を突然、無視する、絶交するなんて難しいだろう。そのまま今でも付き合っている人はいるよ。でも、もうほとんど引退したか死んじゃったかな」
なるほど、わかりやすいと思いました。取材実感としてまとめてみると
ある程度の年齢以上の芸能関係者は若いころ、公然とヤクザと付き合っていた経験がある
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法律の改正などが行われたり、コンプライアンスが問題にされても人間関係として付き合いが残った。
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しかしお互いが年老いて芸能界、ヤクザ業界の一線を退き、老人になってしまい、ほかの人間関係と同じように少しずつ薄れていった。
ということなのかなと思います。
ちなみに、年老いても現役同士である場合は付き合いを続けている人もいるようです。
あるヤクザの親分から「我々の関係を考えるときに、点で考えてはいけない、線で、歴史で考えなさい」と言われたことがあります。
つまり、過去に表世界とある程度密接だった時期があり、それが時代の変化によって変わったという流れを学びなさい、そういうということでした。
以上のように、昭和から少なくとも平成初期ごろまでヤクザ暴力団と芸能界はそれなりの結びつきがありました。
それは実際に興行を暴力団が仕切っている中で、ビジネス上の付き合いがったかもしれませんし、個人の営業で組織の忘年会や新年会、組長の誕生日会などに出ていたのかもしれません。
普通の友人関係だったかもしれません。
やや年配の芸能人や関係者が突然、反社会的勢力とのつながりを暴露されたりするケースでは、ピンポイントで「今の付き合い」がクローズアップされますが実際はもっと長い付き合いがあったケースが多いのではないかと思います。
お金持ちという共通点 高級飲食店やサロン
一方で、年配でない芸能人やスポーツ選手、政治家などが思いがけずつながってしまう、ということがあります。
著名人と芸能人の大きな共通点として、お金をたくさん持っているということがあると思います。
東京や大阪、京都などには私たちが日常で出入りすることがないエクスクルーシブな世界=ちょっとケタ違いに高級な店が存在します。
東京・銀座、大阪・北新地、京都の祇園などには一晩で100万円単位のお金が飛び交う世界があります。
こういうお店で遊ぶことができるのは芸能人やスポーツ選手などか、資金が豊富な政治家くらいです。
著名な料亭や高級クラブは人脈の宝庫になっています。
店の人がお客さん同士を紹介することが付加価値となっているお店もあります。
そこのお店に出入りしていれば、著名人同士が人脈を作れるというお店です。
東京にある有名な料亭のオーナーは飲食店の経営よりもお客同士のパーティーやゴルフコンペの企画が本業のようになっています。そこの料亭に出入りしているということは、社会的な地位、一門の人物であるということの証明であり、店のオーナーを通じてお客さん同士が親交を深め、人脈を築いていきます。
コンプライアンスを順守して反社会的な人種を排除しているお店もあります。
金はいくらでもあると札束を見せられても「一見さんお断りなので、誰かの紹介をもって出直してきてください」というお店もあります。また、ヤクザや不良の匂いがしたら有無を言わさずお断りというお店もあります。
しかし、ただ高いだけのお店も多いのが現実です。特に新規で展開している店は、とにかく誰でも来てもらわなけれならないので、よほどのことがなければ断りません。六本木や麻布にはそういった類の店がたくさんあります。
特にクラブ=ディスコやキャバクラなどの水商売のお店では「金さえ払ってくれれば誰でもOK」な文化が強く、カタギのお金持ちとヤクザ暴力団・犯罪者のお金持ちがニアミスしてしまいます。
結果、芸能人やスポーツ選手が遊んでいるのを見つけたヤクザが、そこで「ちょっとこっちにきてくれよ」とか「ここはオレのおごりだ」みたいな会話から交わりが生じたりすることも多いようです。
こうした新規の出会いの場では、やはり先方がよほど素行不良であるとか、刺青を見せびらかしているとかいうことなければ、ヤクザだとかまして犯罪者かどうかなどというのは著名人側も区別できないと思います。
そうして、今度またメシを食おう、ゴルフをしよう、友達の誕生日祝いに顔を出してくれよなどと言われて関係が深くなってしまいます。頻繁に会うようになってきたタイミングで「ところであの人はヤクザなんだけど、知ってて付き合っているのかい?」などと言われて血の気が引く芸能人も多いのではないかと思います。
そうなってしまったら年配の人となじパターンで、人間関係が出来上がった中で「金輪際、連絡は取れません」などと先方に切り出し、絶交するのは難しいでしょう。
とくにおごられてしまったり、小遣いをもらっていたり、一緒に写真を撮られてしまったりしていると、関係を断って離れると逆にどうされるかわからないという恐怖もあるでしょう。
めちゃくちゃにお金を持っている人というのは気をつけなければならない。
私も気を付けるようにしようと思います。